〇パチスロ攻略マガジンドラゴン2019年8月号より転載

学生ローンとは、学生のための消費者金融である。

20歳以上の学生であれば誰でも利用することが出来る、金に困った学生の言わば最後の駆け込み寺だ。

利用の方法は簡単、店舗へ行って学生証と身分証明書を提示し、借りたい額とその用途を伝える、これだけだ。

親や学校、アルバイト先に連絡が行くこともないので、誰にもバレずに借りることが出来る。

審査も緩い。最大融資額こそ多くはないが （数十万円程度）、金に困った学生からすれば十分過ぎる金額と言えよう。

ただしもちろんタダではない。

金利は年率18%前後で大手の消費者金融とほぼ変わらない金利であり、そこそこ高いと言える。

また、返済期日までに支払わないと、遅延損害金なるものも発生するため、学生と言えど返済するためのプランを立てておくことが大事なのだ。

生活する金にすらも困り果てた当時、ヘミ少年は高田馬場にある学生ローンの話を耳にした。

聞けばクラスの何人かもそこで金を借りているらしい。

まあそのほとんどがパチンコで身を滅ぼしている連中なのだけれども。

消費者金融で金を借りるという行為に抵抗はあったが、そんな事を言っている場合ではないくらい、金がなかった。

生活するための金がどうしても必要だったため、ヘミ少年は高田馬場へと足を運んだ。

高田馬場は学生の街だ。

そして学生ローンの街でもある。

駅を降りて周囲を見渡すだけで、学生ローンの文字が躍る。

とりあえずヘミ少年はクラスメイトに紹介された某店舗へ向かった。

事務所は２階、恐る恐る扉を開けると、中は思った以上に小奇麗であった。

「いらっしゃいませ」

スーツ姿の男に案内され、席に通される。

「使い道と希望額を教えて下さい」

ヘミ「使い道は生活費、希望額は…５万円」

「はい、５万円ですね」

ビッと揃ったお札が手渡される。

こんなにも簡単に５万円もの金が借りられてしまうのか…！

学生ローンは少額であるため審査が緩いのが特徴で、数万円程度なら即日融資されるのだ。

だがついに借りてしまった。

全くの他人から、金を受け取ってしまった。

この瞬間、何か一線を越えてしまった気がした。

しかしそれ以上に、５万円が手元にあるという事実が嬉しかった。

これがあれば生活出来る、立て直せる…！

そしてそのウキウキ気分は、ヘミ少年を事務所の隣にあったパチ屋へと足を運ばせた。

パチスロで金を失い、金を借りて、その金で即パチスロを打つ。

間違いなくギャンブル依存症ってやつだろう。

しかし当時のヘミ少年はそのことに気付いていなかった。

いや、目を瞑っていた。

５万くらい、番長で一発ゾーンを引っ掛けて天国に飛ばせば叩き返せるだろう、そのくらいに思っていた。

勝てないからこんなところにまで堕ちてしまったというのに。

モチのロン、この日は負けた。

５万円あった所持金は一日で３万円になってしまった。

さすがにこれにはヘミ少年もヘコんだ。

一体俺は何をやっているんだと、家に帰って一人部屋の片隅で泣いた。

負けたことが悔しいのはなく、自分自身の行動に嫌気が差したのだろう。

この日を境にヘミ少年はしばらくパチ屋へは行かなくなった。

ガチで金がなかったのもあったけれど、学校の卒業試験などで忙しかったため遊んでいる余裕はなかったのだ。

苦難の２～３月を乗り越え、2007年４月、ヘミ少年は東京の専門学校を卒業して静岡の会社に就職した。

晴れて社会人の仲間入りである。

ただ、気持ちは晴れてはいなかった。

学生ローンの返済がまだ終わっていなかったのだ。

そして次回、社会人になってもなぜか増え続ける学生ローンの借金と、社会の厳しさがヘミ少年に襲いかかる。

出勤初日に大寝坊をかましたヘミ少年に、果たして未来はあるのか。

そしていつになったらパチスロで勝てるようになるのか。

カミングスーン。

今回の格言
金を借りて打つ
パチスロの先にあるのは
地獄だけ

押忍！番長（大都技研）

2005年導入。

BIGの獲得枚数は400枚ほどで、吉宗の711枚に比べると少ないのだが、その激しい連チャン性が多くの打ち手を魅了。

吉宗は怖くて手が出せなかったが、番長なら楽しむことが出来た。

どこかの雑誌で見かけた 「お子様向け吉宗」 という言葉が、今でも耳に残っている。

学生ローンという選択肢は悪くないと思う。

学生の頃の5万円と、社会人になってからの5万円はまるで価値が違うので、返せる目処が立っていれば利用するのもアリだろう。

ただし、借りた金をギャンブルに使うのだけはダメ！