〇パチスロ攻略マガジンドラゴン2018年11月号より転載

僕が負け組だった期間は思いのほか長い。

今でこそガチプロという大層な括りで扱われているけれど、パチスロを打ち始めた頃は当然負けていた。

その負け組だった頃の苦汁を、どのようにして脱却出来たのかを、当コラムで綴っていきたいと思う。

それが皆様のパチスロライフにおいて何かしらのヒントになれば幸いである。

 

僕がパチスロを初めて打ったきっかけは「アダルトサイト」である。

10年以上前の春、ヘミニク少年はケータイでのアダルトサイト漁りに没頭していた。

当時のクソちっさいガラケーの中に映るアイコラやら二次絵やらに胸と股間を膨らませていた。

そんなある日、身に覚えのないメールアドレスからメールが届く。

『有料アダルトサイト3万円ぶんの未納料金があります。入金が無い場合、法的措置に移ります』

震え上がった。

有料サイトを使った記憶も課金した覚えもないが、無意識のうちに使ってしまったのだろうか。

心当たりがあり過ぎてその可能性も否定出来ない。

ヘミニク少年は法的措置という聞き慣れない言葉にすっかりビビッてしまった。

どうにかして金を作らなければならない。

当時の僕はバイトも何もしていなかったので、当然3万円など持っていない。

親に相談しようものなら末代までの恥である。

ならば頼れるのはもう友人しかいない。

当時やたらと羽振りの良かった友人Kに、このことを相談してみることにした。

K「3万円か。そのくらいならなんとかなるかもしれないぞ」

3万円をそのくらいと言ってしまうKが神に見えた。

K君よ、いったいどうすれば素寒貧の状態から3万円を作ることが出来るのですか？

K「パチスロだよ、パチスロ」

パチ…スロ…？　

これが僕とパチスロの出会いである。

Kの羽振りが良い理由はどうやらパチスロで勝っていたかららしい。

 

さっそく次の土曜日、Kと共にホールへ向かうこととなった。

K曰く、オオハナビという台が良いらしい。

BIGが当たれば最大で711枚、なんと約1万円を得ることが出来るという。

つまりBIGを3回当てればアダルトサイトの支払いは可能。

こうしてヘミニク少年は初めてパチ屋へと足を踏み入れたのだった。

向かったホールは駅前から徒歩3分のくたびれた店。

パチスロ設置は60台ほどだっただろうか、客はほとんどいなかった。

作戦通り、ヘミニク少年はオオハナビへと着席する。

Kが言うには『サンレンドンチャン』が左リールに止まれば良いらしい。

これだけ大きな絵柄の塊ならなんとかなりそうだ。

 

千円で借りたコインを入れ、毎ゲーム『サンレンドンチャン』を狙い続ける。

なかなか止まらない…。

おっ、惜しい、2人止まったぞ。

そうこうしている内に千円分のコインがなくなった。

だが、もう少しで全員止まりそうな気がする。

ならばと追加で金を投入。

ダメだ、止まらない。

止まる気配もない。

俺の動体視力では『サンレンドンチャン』を止めることは出来ないのか。

Kよ、頼む。

俺の代わりに『サンレンドンチャン』を止めてくれ。

K「BIGが入ってないと3連ドンは止まらないぞ」

入ってる…？　どいういうことだ？　

この時初めて、パチスロは絵柄を狙うだけでは当たらないということを知った。

しかし時すでに遅し。

財布の中にあった5000円は全て溶けてしまっていた。

 

全財産を失い顔面蒼白でパチ屋を後にするヘミニク少年。

こうして初めてのパチスロはほろ苦デビューで幕を閉じた。

なおアダルトサイトの料金は、母親に 「服と靴を買うから3万貸して」 と言って何とか支払うことが出来た。

服と靴に3万はどう考えてもかかりすぎだが、母は何も言わずに3万円を手渡してくれた。

今思い出しても胸が苦しくなってしまう。

アダルトサイトは適度に利用すべきだと、ヘミニク少年は学んだのであった。

大花火

1999年に登場したアルゼ(現ユニバーサル)の大量獲得ノーマル機で、BIG1回あたり約600枚ものコインを獲得可能だった。

ボーナス中のリプレイハズシはビタ押しが必要だが、3連ドンちゃんを狙うアシスト手順も存在。

というかKよ。通常時3連ドンちゃん狙ってたら、山こぼすじゃんか…。

とりあえず架空請求は詐欺だがら払ってはいけない。

無視するのが一番だ。

それと友人Kの言葉も鵜呑みにしてはいけない。

ヤツは説明を面倒くさがって毎ゲーム3連ドンちゃんを狙っておけと言っているだけだから。






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